#20 決意 保護者 真摯
街から自分の来た道を辿って戻るラッカ。一歩一歩の足取りが重い。こんな時、レキがいつも一緒にいてくれた気がする。
「あ、ラッカ!」
ネムの声がした方を向くと車椅子にレキを乗せたネムがいた。どうやら少しづつでも後をつけてきてくれていたようで、戻るとすぐに会えた
「ラッカ、ヒョウコには会えたの?ヒョウコなんか言ってた?」
「うん、ネム、あのね。」
そういうとラッカは重苦しい雰囲気の中、二人から聞いた経緯を話した。ネムはそれを聞くとなんともいたたまれない気持ちになって表情がこわばった
「そう、ヒョウコとミドリがね。けど、たしかにそれは言う通りね、これは私たちの問題で、あの子たちには関係ないのかもしれないね。あの二人の言ってることは正しいのかもしれない」
「うん、だけどネムが気にすることじゃないよ。今は私もいるし、カナだっている。クウももうこっちに一緒に住んでくれるから、四人でレキが良くなるまで協力しあおうよ、仲間なんだから」
「そうね。ありがとうラッカ。本当のことを言うと、私はラッカが来てくれて嬉しかった。レキのこと、私だけじゃどうにもできなかったから。やっぱり、ラッカじゃないとだめね」
「そんなことないよ。レキにとってネムは必要だよ。あ、けどね。私、私、ちょっと決めたことがあるの」
「ん?なにを決めたの?」
「ここじゃあ話せないから、一旦シルバーホームに戻ろう。クウとカナにも話しておきたいから」
ラッカがそう言うと三人はシルバーホームまで戻った。カナとクウは仕事でいない。二人は夕方になって二人が帰ってくるまで待っていた。カナはここに戻ってくるし、クウはラッカの保護者であるため、一度はラッカに会いにくるのは必然だった
そして夕方になり二人が帰ってきた。ラッカはなにかを決意した目で話し始めた
「あのね、クウ、カナ、ネム、私、実は今日、心に決めたことがあるの」
ラッカは重苦しい雰囲気で話し出すかと思いきや、わりとさらっと話し出した。ただ目はもう決断をしたようなきりりとしていて、腹をくくったような表情をしていた
「私、今日からレキの保護者になる。私がレキを救うの。レキのこと、治るまでも治った後も私が責任を持って管理する!」
ラッカからの突然の告白に三人は驚いた。ラッカがレキの保護者になる?そもそもラッカも罪憑きだからその保護者はクウなはずでは!?
「え?じゃあラッカ、ネムからラッカにバトンタッチするってことでしょ?ラッカの保護者はどうするの?」
「クウ、私のこと、見守ってくれててありがとう。私の保護者はレキにお願いする。だから、私とレキは互いに罪憑き同士で保護者同士になるの」
三人はラッカがなにを言ってるのか全く理解できなかった。レキの保護者がラッカなのはまだわかるが、ラッカの保護者がレキに!?つまり相互保護者ということか!?
「え?けどラッカ、レキはラッカのことは観れる状態じゃないし、とてもそんなの無理よ。私はラッカがレキの保護者を引き受けてくれるのは助かるけど、いくらなんでも無謀でしょ」
「うん、ネム。無謀なのはわかってる。けどレキの為にも自分の為にも、私やってみたい。少しでも早くレキを元どおりに戻したいから。私がずっと一緒にいれば、レキも戻ってくれるんじゃないかって」
三人は、このむちゃくちゃな話をラッカが本気で言っていることを理解した。ラッカの本気の決断を見て、それを了承した。しかしあとは連盟がそれを受け入れてくれるかどうかだが
「まあ、みんなで連盟に行ってトーガに説明してみようよ。今までない事例だろうけど、ラッカがそれくらい本気ならありうるかもね。あたしも協力するよ」
カナがそう言って五人で連盟に行くことを決めた。ラッカのこの無茶苦茶な提案は果たして通るのだろうか?そしてレキの安否はいかに。この先どうなっていくのだろうか?