#19 会話 真相 二人の想い

「まずはあたしから話すわ。とにかくヒョウコはもう自分のやったことでレキだけじゃなくてあんたたちボロ屋敷の灰羽、今は白羽ね、に申し訳が立たなくてしょうがないのよ。特にネムにね」



ミドリが先陣を切って話す。え?申し訳ない気持ち?一体どう言うことなんだろう?だって汽車に乗って無断で外にでようとするときに止めてくれたのがヒョウコさんだったんじゃ?


「まずさ、壁の中であたしたちにできることって本当はレキを壁の外に連れ出すことじゃなくて、現状を受け入れさせて様子を見るべきだったでしょう?ネムが一緒に住んでたんだからネムと協力したりしてさ」



「だけどヒョウコのバカがレキを連れて楔を打って壁を登ろうとしたりするからあんなことになったし、それでそれはヒョウコが勝手にやったことだし止められなかったあたしにも原因があるのにレキのせいにしてレキに酷いこと言ったり、石を投げたりしたのよ」



ラッカはその経緯を壁の中でミドリから聞いたのを思い出した。そういえばそんなことがあったな



「あのときレキを一番心配してたのは、きっとネムだったのよ。それなのにヒョウコはヒョウコで勝手な行動にでるし、あたしはあたしでヒョウコの怪我をレキのせいにするし。あたしたちはお節介なつもりでも自分勝手だったの。それに気づいたわ。」




「そんなことない!レキはヒョウコさんにもミドリさんにも感謝してるよ。あんなになったのはレキが自分で起こしたせでもあるのに・・・。」



「たしかにそれはあるわね。けどネムはどう?ネムは誰よりもレキを心配して、レキと一緒に住んでたのに、ネムのことを何も考えず、あたしたちは迷惑をかけた。だから」



「だからもう、俺はこっちの世界ではレキやお前たちには何も干渉しないことにしたんだ」


ヒョウコがミドリの話の途中で割って入った




「俺、レキの為、レキの為って思ってたけど、結局は自分のエゴでやってた事に気づいた。だってフラの街に来てからレキが壁の中と同じ行為をするなんて思ってもなかった。だけどもしあのときと同じことをするなら俺はレキに手を貸してクラモリのいる街まで行かせてやればよかったんだ。それを俺が奪った」



「俺はその時、レキのことを考えるよりも、多分ネムとかお前たちシルバーホームの白羽のことを考えて行動してた。壁の中のことから学習したといえば聞こえはいいけど、結局俺のやってた事って自分勝手だったんだよな。」




「けど、けど、ヒョウコさんが止めてくれたおかげでレキは捕まらないで住んで、ネムもきっと感謝してるよ!だから・・・」



「そう、結果としてはあれでよかったんだと思う。だけどもう、俺たちはお前たちとは一緒に住んでない。だから今、シルバーホームで起こってることはお前たちの問題だから、俺たちが干渉することじゃないと思うんだ。お前たちで解決することだろ?もう俺らにレキにもお前らにもできることはなにもないって思ったんだ。それだけだよ」



「そう、だからごめんね。これはあたしとヒョウコで話し合ってだした結論だからもう変える気はないの。勿論レキのことはあたしたちも心配してるよ。そこだけはわかってね。」

 


ラッカはそれを聞くと、ガクッとうなだれてしまった。そうだったのか。けどこれも受け入れなくちゃいけない事実なのかもしれない。



「わかりました。どうもありがとう。レキがまた元気になったら是非会いに来てください。レキも二人と会いたがってると思うから」



ラッカはそう言うと、街からネムとレキがいたシルバーホームの方へ歩き始めた。二人から真相を聞いて、どうも納得ができなかった。しかし同時にラッカはこのときある重大な決断をしていた。