#18 迷走 ミドリ 二人の真意

「ヒョウコさん、待って!」


懸命に走るヒョウコの後を追いかけるラッカ。シルバーホームからでて、街の方にいく途中だった。ちょうどヒョウコは街に駆けていったのでラッカは必死についていった


街まで走っていくと、ヒョウコはどこか路地裏に入っていった。ラッカは後をつけるが姿がない。どうやら見失ってしまったようだ


「あーどうしよう」


ラッカはとりあえずその辺りを見回し、ヒョウコを探すが見当たらない。完全に逸れてしまった


「えと、近くにいる人に聞いてみよう。あれ?」


そうすると、どこかで見たことのあるツインテールの女の子の白羽が街を歩いていた。あれはたしか


「ミドリさん!」


ラッカが大きな声を上げて話しかけると、その少女はくるりとこちらを向いた。それはラッカが呼んだ名前の通り、廃工場の灰羽だったミドリだった


「あら、お久しぶりね。こっちでもまた会えるなんて」


「うん、久しぶり。もうこっちにきてたんだね。あのさ、私今、ヒョウコさんを探してるんだけど、知らない?」


「ヒョウコ?なんでアンタがヒョウコを探してるのよ?」


ラッカはそう言われると、一部始終をミドリに話した。レキがおかしくなって、もう話すこともできなくなっているのに、以前は見舞いに来てくれたヒョウコさんがこなくなってしまったことをネムから聞き、本人はもう何もできないことを悟っているということ


「そう・・・。あたしもつい最近こっちに来たばかりだけど、それは知ってたわ。けどごめん。ヒョウコの言う通り、もうあたしたちがレキにしてあげられることは何もないと思うの」


「え?それはどういう・・・。」


「ヒョウコは、自分のやったことの罪の重さを知ってるのよ。自分がレキを傷つけたって思ってね。レキはきっとそう思ってなかったと思うけど。とにかくあたしたちは、レキに迷惑かけられたってずっと思ってたけど、迷惑かけたのはあたしたちだったって、気づいたの」


ミドリはそう言うと、少し下を向いてラッカに目を合わせようとしなかった。そしてラッカはヒョウコとミドリの言っていることがあまりよくわからなかった。なぜ彼女たちが自分に負い目を感じるようなことがあるのか?



「えと、ちょっとよくわからないんだけど、話してくれない?あなたたちがどういう考えをしてるのか、あたしただそれが知りたいだけだから」


「うん、いいよ。あたしもちゃんとあなたたちに話そうと思ってたところ」


「余計なことすんなよ!」


後ろから大きな声が聞こえてきたかと思うと、それはヒョウコだった。ミドリから一部始終を聞けるかと思っていたが、ラッカの探し求めていたヒョウコが自ら現れたのだった


「ミドリ、レキのことは俺もやった問題だろ?お前には関係ないんだから勝手なことこいつに言うなよ」


「何よ!そんなこと言うならあんたがちゃんとこの子かネムに言えばいいじゃない!あんたが思ってること代弁してあげようとしてるだけなのに、文句言われる筋合いはないわ!」


「いやあの、まあまあ、落ち着いて」


突然始まった口論に、ラッカは仲裁にはいる。レキのことで一体なぜそんなに揉めることがあるのだろう?



「わかった。じゃあ俺は俺で話すよ。本当はネムにも言おうとおもってたけど、お前にだけ話すから、それでいいな」


そういうと、ヒョウコはレキについての旨のうちをラッカに語り始めた。ラッカは黙ってそれを聞いていた。秋が深くなってきた時、レキの心は深い闇に沈んでいたが、ラッカはただ真相が知りたくてヒョウコの話を黙って聞いていた