#14 クウ一人 五人目 晩夏の昼

連盟から手紙が届き、その内容を開いたカナそこにはこう記されていた


「新たに壁を超えた灰羽が来られたし。白羽連盟で保護中。至急こちらまでこられたし。今回はすぐに来ることを命ずる 白羽連盟」


 

ネム!連盟からまた手紙がきたよ!新しい灰羽がきたって!ラッカかな?ヒカリかな?」


 

「とにかく早く行った方がいいわね。今、レキがこんな状態だから一人でもきてくれるとありがたいわね。私たちはここから離れられないから、お昼になったらクウが来るからクウに行ってもらいましょう」


 

ネムがそう言うと、カナは頷いた。クウはまだ自分の仕事場に住んでいた。しかし契約更新が一年ごとだったので、秋口になれば再び契約の日が訪れるのでシルバーホームに一緒に住むことを決めていた


 

そして昼頃に、お店で売られている食べ物を差し入れにクウがやってきた。相変わらずレキの心配ばかりだったがクウの職場にも手紙が届いていてとても嬉しそうにしていた



「新しい白羽がきたんだってね!ラッカかな?ヒカリかな?とにかく早く逢いにいきたいなー行こうよ!」



「ああ、そのことなんだけどさ、クウ、ネムはレキにつきっきりで疲れてるからちょっと休ませてあげたいんだよ。だからあたしがレキの面倒みるから今回はクウが一人で迎えに行ってもらえるかな?」



「うん、いいよ!じゃああたしいってくるね!」



クウはそういうと、一人で連盟まで向かった。一体誰がきたんだろうと思い、ワクワクしながら向かった



寺院にはいると、トーガがいた。しかしネムの時もカナの時もいたはずなのに誰もそこにいなかった。クウは不思議がってトーガに尋ねた



「あの、あたし新しい白羽がきたっていうから迎えにきたんですけど、どこにいるんですか?」



「クウ、よく来てくださいました。こちらです」



トーガに案内されついて行ったクウ。寺院の中にある扉を開けてとある部屋にはいるとその部屋のベッドに一人の白羽が眠っていた


 

「あ、ラッカだ!」



そう、その白羽はラッカだった。これはレキのときと同じ。レキがこちらの街に来た時もこの部屋に案内され、そこでレキが眠っていたのを思い出した



「はい、今回はラッカが新しくきた白羽です。クウ、ラッカは罪憑きだったので保護者が必要です。レキの時はクラモリと今はネムですが、ラッカはどうしますか?」



「ああ、たしかにレキの時はクラモリだったね。まあ推薦したのはあたしだったけど。じゃあさ、今回はあたしがラッカの保護者になるよ!今あたしはシルバーホームに住んでいないからとりあえずあたしの住処まで運んでもらえるかな?」



「わかりました。ラッカはレキと違って恐らくは今日中に目覚めると思います。レキの時は二日以上眠っていましたが、おそらくあれは罪憑きの重さによる長さでしょう。」



「わかりました!じゃあよろしくお願いします!」



クウがそういうとトーガはベッドをそのまま荷台に乗せ、リヤカーのようなものでゴロゴロとラッカを街まで運んだ。これはレキを運んだ時と同じものだった。そしてこの荷台でグリの街の交易に来ていることをようやくクウはこの時知ったのだった



クウの職場まで着くと、トーガはラッカを抱えて階段を登った。部屋に入るとクウが使っているベットに起き、トーガはそのままクウに託し帰った。ラッカはスヤスヤと眠っていて、起きる気配がなかった



「お昼休みだったけど、今日はこのまま仕事休ませてもらおう。マスターもレキのこと心配してたしわかってくれるよね」


「ラッカ、また会えたね。あたしすごく嬉しい。今はレキがあんな状態だけど、ラッカをみたらまた元気になってくれると思う。ラッカにまた会えて嬉しい」



クウはラッカの寝顔を見て安心したのかそのまま椅子に座り込んで眠ってしまった。こうして、晩夏に五人目の灰羽がこのフラの街にやってきたのだった。