#13 凄惨 朱色 晩夏

ネムは街に戻ると、白羽連盟に寄らずシルバーホームに戻った。とにかくレキを一目でも見なくてはとおもった。


広間に入るとレキの姿がない。おや?どこに行ったのだろう?


「だーかーらー、やめなってレキ!!一体どうしちゃったのさ!??」


奥の部屋からカナの叫びに似た声が聞こえる。ネムはものすごい不安に駆られ、一目散に声のする方へ走った



「カナ!何があったの!?」


ネムが部屋に入るとカナがレキの手を掴んでもみ合っていた。レキは羽から血を流し、羽の下部、シミのあった場所が真っ赤に染まっていた


「レキ、どうしたの!?」


「ああ、ネム、いいところに来た!レキが突然狂ったように暴れ始めて羽を切り落とし始めたんだ!クウは仕事でいないし、あたし止めたんだけどレキがやめようとしないんだよ!」



必死でレキの手をとり抑えようとするカナ。レキは羽を下部のほとんどをハサミでムシりとり、血を流し真っ赤になっていて、表情が崩れ汗まみれになっていた



「レキ!」



ネムは慌ててレキの手を取ってレキを抑えた。とりあえずハサミを取り上げてカナと二人で椅子に押さえつけた



「レキ!レキ!一体どうしちゃったの!?なんでこんなに血まみれになるまで羽を切り落としたりしたの!?」



レキは汗とでビッショリになり、ものすごく息をきらして錯乱していた。言葉は発しなかったがもうまともに話ができる状態ではなかった



ネムはすぐさま病院に連絡をし、病院から医師を連れて来させた。連盟にもこの経緯を伝え、トーガも一緒にやってきた。クウも仕事を切り上げ、カナとネムと三人でレキを見舞った。医師は鎮静剤を打ち、レキをベットに寝かせた



「一時的な錯乱状態に陥っただけです。罪憑きの白羽ですよね?おそらくそれが原因です。自分を見失ってしまい、羽をむしってしまったのです。羽は時間がたてば新しい羽が生えてきて元どおりになります。まずは安静にしてください。あとは心の問題です」

 

「どうしたら元どおりになりますか?レキはどうなってしまうのですか?」



ネムがとても心配したようにきくと



「体の方は問題がないのですが、白羽のことについては我々よりトーガの方がお詳しいでしょう。体は問題ないです。まずは安静にしてください。それではまた何かありましたらご連絡ください。」



そういうと医師は部屋から出て行って病院に戻った。三人はとてもレキを心配して、ネムは涙を流しながら眠っているレキに駆け寄った。



「これは一体どういうことなのですか?」



カナがトーガにきくとトーガはこう言った



「罪憑きであった白羽は、なんらかのストレスを感じてしまうとそれが羽にでます。灰羽だっとときと同じです。しかし白羽になってからこの症状がまたでると、このように自分を見失ってしまうこともあるのです。」



トーガの冷静な口調に心底腹の立ったカナだったが、それは言わなかった



「どうしたら元にもどりますか?」



「まあ、クラモリがいなくなったことが原因でしょうね。そしてレキが無理に街を出ようとしたのにそれができなかったからこのようになったのでしょう。医師もおっしゃいましたが、まずは安静にして様子をみてください。」


そういうとトーガ部屋から出て行って連盟に戻った。ネムは涙を流し自分を責め、レキに寄り添った。カナとクウは何も出来ずただぼーっとたって見ていたが、どうすることもできず、この現状を受け入れられなかった



「レキ、どうなっちゃうんだろう?」



カナが来て新しい仲間が戻ってきたらすぐに起こったこのような事件。三人は交代でレキの面倒を見ることにした。レキは日に日にやつれていき、何も話さなくなった。一人で放置してしまうと再び自傷行為をしてしまうので、つねに誰かが見ていなくてはならなかった。そして夏もあっという間に時間が経つと、晩夏ごろに再びシルバーホームに一通の手紙が届いた