#15 クウとの再会 ラッカ シルバーホーム

ラッカが目覚めるとそこは見たこともない部屋だった。なぜ巣立ってからの記憶がないんだろう?気づいたら今いる部屋で目が覚めた。それはまるで灰羽として繭から生まれた時と同じ感覚だった



「えと、ここは?」



ラッカはとても混乱していた。たしか、ヒカリとヨミとヤミと一緒に住んでたけど、巣立ちの日が来たから巣立ったはず。壁を超えて、なんとなく進んだ先に何かがあって、突然そこで眠りについた?んーダメだ思い出せない



ガチャと扉が開き、誰かが部屋にはいってきた。



「ラッカ!目が覚めた!?ひさしぶり!」



「クウ!」



ラッカはクウを見て物凄く驚いた。壁を越えれば会えると思っていたが。まさかいの一番にクウに会えるとは思っていなかった



「クウ・・。」



ラッカは涙を流しながらクウに抱きついた。クウがいなくなってからどれだけ寂しかったか。どれだけクウに会いたかったか。



「ラッカ!会いたかったよ!ちゃんと羽も白くなってるし、祝福を受けられたんだね!」



「え?羽が白くなった?」



ラッカが驚いて自分の羽を見ると羽が白くなっている。本当だ。灰色じゃない。白色だ。



「えと、クウ、あたしなんで眠ってたの?それにここはどこ?なんでクウがここに?あとなんで羽は白いの?」



レキの時と同様、ラッカもこの状況に混乱していた。クウに会えたことはとても嬉しいことだったが、やはり目覚めていきなりこの状況では混乱する



そうするとクウは白羽についてと街のルールなどについてラッカに説明した。眠っていたことを公には話さなかったが、クウはこの街で起こったこともいろいろ話してくれた。ラッカが罪憑きであったからその保護者はクウが引き受けたことも



ラッカはその話を聞いた後にとても嬉しそうに壁の中の話をクウにした。クウがいなくなってどれだけ寂しかったかということ、クウの声を聞き壁に触って罰を受けたこと、自分は罪憑きだったこと、レキが罪憑きから抜け出して壁を越えたこと、自分の後にヨミとヤミが生まれたこと、そしてなによりもただただクウに会いたかったこと



「ラッカ・・・。あたしも同じだよ。ラッカに会いたかった!ラッカ、覚えてる?最後の雨の降った日に、あたしがラッカに別れを告げたよね。あの時、心のコップが満たしてくれたのは、きっと最後はラッカだと思ってるんだ。」



「うん、あの時はすごく悲しかった。森に入ってみんなでクウを探しに行ったんだよ。カナがさ、時計塔の鐘を鳴らして、森に迷わないようにっていってさ」




ラッカは自分の一番会いたかった友達にまた会えたことでとても幸せだった。そして自分の保護者がクウになってくれたことも幸せだった



「そういえばここはどこ?レキ、ネムやカナは一緒に暮らしてないの?」



「えと、あのその」



クウはラッカに聞かれて一瞬困ってしまった。そういえばレキの今の状態をラッカに見せて大丈夫だろうか?いや、レキにはきっとラッカが必要なのだ。そう思いクウはラッカに本当のことをすぐに打ち明けた



「え?レキがそんなになってるの!?クウ、今レキはどこにいるの?あたし、すぐに会いたい!」



ラッカの表情が一変した。クウからその事実をきくと、途端にレキが心配になった。ただすぐにでもレキに会いたかった



「わかった。今日はあたし仕事休みだからレキのいる家まで行こう!ネムもカナもいるからラッカに会えたらよろこぶとおもう」



こうしてクウはラッカを連れてシルバーホームへ向かった。ラッカはクウに再び会えた喜びのあとにレキの現状を聞いて気が気ではなかった。とにかく早くレキに会いたい!そう考えながら走っていると、二人はシルバーホームにたどり着いた