#16 廻り合い 言葉 再生
「さあ、着いた。ラッカここだよ。シルバーホームっていうんだ」
「わあ、広い!オールドホームと似てる感じだね。というか街がグリの街にそっくりだね。やっぱり」
シルバーホームはオールドホームと違って、立派な石造りの家だったが、裏に空き家が何件もあったため、いくらでも人が住めた。今は三人しか住んでいないが、いずれはみんなで住むことになるだろう
ラッカはシルバーホームを見て、灰羽だった頃を思い出した。そういえば、あの時も、街に行くときはクウが一番最初に手を引いて連れて行ってくれたっけ
家の中に二人が入ると、カナがレキにスープを飲ませていた。レキは全部飲むことができず、口からポタポタとこぼしていたが、それでもどうにか胃には入っているようだった
「カナ!レキ!」
ラッカが二人の名前を呼ぶ。カナが手を止めくるりとこちらを向いた。ああ、新しい白羽はラッカだったのか!けれどついこないだまで灰羽だったカナにとってあまり懐かしい感じはしなかった
「ラッカ!よかった!ラッカが来てくれたんだね。あのさ、レキがもうこんな感じでさ・・。」
カナは若干涙ぐんで下を向いてラッカに訴えた。ネムは違う部屋で睡眠をとっていた。ラッカは一目散にレキの元へ駆けつけ、レキの手を握ってレキに訴えた
「レキ、レキ、私がだれかわかる?ラッカだよ?覚えてる?いつかまた会えるよね?って言ったけど、こんな再会だとは思わなかった。レキ、辛いことたくさんあったね。私、レキに会いたくてここまで来たんだよ?レキ、私、私・・。」
ラッカは涙を流してベットの中にうずくまった。レキは魂が抜けたようになっていて、話すことがほとんどできなかったが、ラッカの方をちらりとみてこう言った
「ラッ・・カ?」
「え?レキ、私がわかるの?」
「ラッカ・・。」
レキはラッカを見るなりそう言った。カナもクウも驚き、レキの方を見た。錯乱してから全く話さなかったレキが口を聞いたのだ
「おーいネム!レキが喋ったぞ!」
カナは部屋を飛び出してネムを起こしに言った。ネムはカナに起こされ飛び起きてレキのいる部屋に行った。そこには久々に見るラッカの姿があって驚いた。そしてネムはとても心強い味方が来たと思い、安心をした
「ラッカ!ラッカなのね!ごめんねラッカ、保護者のあたしが不甲斐ないばっかりに、レキがこんなになっちゃって。レキと再会するの楽しみにしてたよね」
「ううん、ネムのせいじゃないよ。レキはきっと何かまだ重いものを抱えてるだけだと思う。だからきっとこれからそれが外れていけば元に戻るよ」
「けど、ラッカが来てくれたおかげでラッカの名前を呼ぶことができたんだよね。レキ。よかった。少しでもこれからよくなるといいけど」
ラッカが来たことで三人はとても安心した。人数が増えただけでなく、ラッカのおかげでレキが少し元気を取り戻りていく様子も分かった。レキは錯乱してから一歩も外に出れなかったが、街から車椅子を買ってきて、それに乗せるとようやく外にでることもできるようになってきた